中古の一戸建ての住人になった

突然の妊娠、出産で、引っ越すことになった。それまで住んでいたアパートは、新築で、東京に限りなく近い埼玉にあった。職場にも、電車一本乗り換え無し、と、とにかくとても便利なのであった。

そして新たに引っ越した場所は、と言うと、東京は東京でも、限りなく千葉に近く、築30年は越していると思われる、中古もいいところの一戸建て。

ジェイアール線に辿り着くには、徒歩20分は掛かる。そのお陰か、出産間際まで会社勤めしていた私は、毎日朝晩歩いた時間が、良い運動になっていたらしく、1時間ですんなり産まれる、という超安産であった。感謝すべきなのだろうか。母子家庭の移住支援ね。

しかも、引っ越してきた時には既に妊娠5ヶ月で、会社と家、あとは近所のスーパー位しか行動範囲がなかったせいもあり、なんて不便な所に来てしまったのだろうか、と思っていた。それに古いせいか、家は目の前の道路を走る車のせいで揺れる揺れる、常に地震が起きているみたいだ。

ところが、そんな良い所がちっともなさそうな我が借家だが、今2年目にして大変住み心地が良くなってきている。

赤ちゃんも産まれて、1年目は何も感じることが出来ぬまま、ドタバタと過ぎていってしまったが、2年目となった今、散歩の余裕が出てきた。

赤ちゃんを連れて、ご近所をブラブラ。あれ、こんな所に商店街が、あら、こんな所にお肉屋さんが、美味しい唐揚げが食べられるわ、あら、図書館がこんな近くに、あら、素敵な洋菓子屋さんが、なんと観光地まで徒歩で行けるなんて。住めば都、とはよく言ったものだ。

今では住み心地が良い町に変わっている。中古の家も、なんだか昔遊びに行っていたおばあちゃんの家の匂いがして、なんだか懐かしいではないか。

考えたら陽当たり良好だし、洗濯物も良く乾く。隙間風も、換気が必要だし丁度良い。車の振動も気にならなくなっている。

それどころか、ガタガタ言うドアの音が心地よく、深い眠りにつくことが出来るようになった程だ。考えが変わったのか、心が大らかになったのか、はたまた鈍感になったのか、住み心地が良ければ全て良し、なのだ。